戦場派遣
第三章 血の匂い
杉山は何も言わず、男の後を付いていった。

男は黙々と歩き続けた。

草木を掻き分けひたすらと森の中を進んでいった。



3時間ほど歩き、日が落ちてきて周りの景色も見えづらくなってきた。

普段歩くことの少ない杉山の体力は限界に達していた。

男は立ち止まり、周りを確かめ、足元の草木を踏み倒していった。

「今日はここまでだ。」

そう言われ、杉山はその場に座りこんだ。

「はぁ。疲れた…。」

男はバッグの中から、何かをアルミホイルで包んだものを杉山に投げた。

「なんすか?これ?」

杉山がアルミホイルを開けると、いままでに嗅いだことのない異臭が鼻の粘膜を刺激した。

「うっ、…くさっ。」

「それは今日の食事だ。鳩の薫製だ。」

男は自分の分のアルミホイルを開け、食べ始めた。

食べるのを躊躇うのをみて男が言った。

「食べたくないなら食べるな。返せ。」

杉山は少し考えた後、意を決し、異臭のする鳩を食べ始めた。

凄まじい異臭が口から鼻へと駆け上った。


なんども吐きそうになりながら、無理矢理、喉の奥へと押し込んだ。

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