戦場派遣
迷彩服の男は、追ってきた男に向かって、ライトを点灯した。

すると男はゴーグルを外し、両手で目を覆った。

「うぎゃぁぁぁ!め、目が潰れるぅぅぅ!」

目を押さえ、その場でのたうち回る男の頭を押さえつけた。

そして、腰に常備していたサバイバルナイフを取りだし、黒づくめの男の首を切り裂いた。


次の瞬間、男の首元から大量の血が、まるで雨のようにあたり一面を塗らしていった。

体を痙攣させ、やがて動かなくなった。

迷彩の男は返り血を浴び、真っ赤に染まった顔で近づいてきた。


「馬鹿野郎!敵に背中を向けて逃げる奴があるか!」

その声は杉山には届いていなかった。

目の前で人が殺されるのなんて初めてのことだった。

恐怖のあまり、体がいうことをきかなかった。


「な、なんで殺したんですか…?」

杉山は出ない声を無理矢理出して問いかけた。


男は顔を拭いながら答えた。

「ここは戦場だ。やらなければこっちが殺されていた。」
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