戦場派遣
「今日の給料は7200円か。もう半年も派遣生活したし、そろそろ就活しないとなぁ。」

杉山は一旦、家に帰ることにした。

職場から地下鉄に乗り約5分。

駅からは徒歩で10分。

住まいは家賃3万のボロアパート。1R風呂・トイレ別。ただ風呂場には浴槽はなく、シャワーのみがついている。
もちろんエレベーターなどはなく、毎日階段を上り下りしている。
寝床の布団は引きっぱなし。買ってから2年ほど経つが、厚さは半分になっていた。

家に帰った途端、杉山は布団に倒れこむように横になった。

枕元に置いてあるテレビのリモコンを取り、スイッチを入れた。
別にテレビを見たい訳ではなく、静かな部屋にいるのが嫌なだけだった。

こんなダラダラと過ごす生活に杉山は満足していた。
ふと、携帯を見ると留守電が入っているのに気づき、杉山は再生ボタンを押した。

「あ、もしもーし。お母さんです。元気にやってますか?そろそろ真面目に就職活動しないと…。」

ピッ。

杉山は途中で携帯の電源を落とした。

「言われなくてもわかってるよ…。」

そう呟き、布団を頭から被った。
< 4 / 22 >

この作品をシェア

pagetop