戦場派遣
「仕事内容ってなんですか?」

田代はゆっくりと顔をあげた。

「普段やっていただいてるレジの仕事よりは大変ですけど、慣れればどうってことないですよ。」

杉山は渡された資料を読み返した。


【持ち物】
・パスポート ・気合い


「? パスポート?気合い?」

「身分証明にパスポートを用意しろって先方が言うんですよね。ちょっと変わってますよね。」

杉山は、気合いと書かれたところを指で指した。

「これは?なんですか気合いって…。」

田代は笑いながら、
「それはギャグです。やる気のあるスタッフで…って言われていますので。」

「場所はどこです?」

「それはわかりません。」
田代は即答した。

「えっ?」

杉山はそれを聞き直した。

「わかりません。」

「あ、あの、わかりませんってどーゆーことです?」

「うちの支店の下まで迎えにくるんですよ。そこから現場に向かう感じです。あと、この一ヶ月は自由な時間は寝る時だけですから。」


杉山は5分ほど考えた。

別に彼女もいない。
地元じゃないから友達もいない。
やりたいこともない。

特に断る理由もない。
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