天体観測
「そうやな……」と言って、隆弘は円を描くように歩きだした。
「全部を……」
「え?」
「全部を抱えて飛んでください」
「全部を抱えて……飛ぶ?」
「はい」と言ってから、隆弘は付け加える。
「悲しいことに遭遇しても、嫌なことや嬉しいことがあっても、どんな結末を迎えても、全てを受け入れてください。そして、先に進んでください」
僕は頭の中で今の言葉を反芻し、ゆっくりと息をはく。いつしか雨が止んでいる。雲一つない蒼い空が僕らの上には広がっている。
そして、僕は言う。
「どんな結末を迎えても……飛ぶよ。高く。そしてお前に会いにいく」
「そのときは……」
「ああ、恵美と一緒だ」
今度は僕が付け加える。
「でも恵美が俺を許してくれるかもわからないけどな」
「大丈夫ですよ」と、自信に満ちあふれた顔で隆弘は言う。
「恵美は司さんのことが大好きですから」
僕は驚かなかった。嫌悪感も出てこなかった。ただ、妙に恥ずかしい。
「わからないだろ。そんなこと」
「わかりますよ。司さんだってそうなんですから、恵美が違うわけないやないですか」
「うるさいよ」と言い、僕は空を仰いだ。
蒼い空にはあまたの虹がかかり、それらがドームを作って、僕らを包み込んでいる。
「全部を……」
「え?」
「全部を抱えて飛んでください」
「全部を抱えて……飛ぶ?」
「はい」と言ってから、隆弘は付け加える。
「悲しいことに遭遇しても、嫌なことや嬉しいことがあっても、どんな結末を迎えても、全てを受け入れてください。そして、先に進んでください」
僕は頭の中で今の言葉を反芻し、ゆっくりと息をはく。いつしか雨が止んでいる。雲一つない蒼い空が僕らの上には広がっている。
そして、僕は言う。
「どんな結末を迎えても……飛ぶよ。高く。そしてお前に会いにいく」
「そのときは……」
「ああ、恵美と一緒だ」
今度は僕が付け加える。
「でも恵美が俺を許してくれるかもわからないけどな」
「大丈夫ですよ」と、自信に満ちあふれた顔で隆弘は言う。
「恵美は司さんのことが大好きですから」
僕は驚かなかった。嫌悪感も出てこなかった。ただ、妙に恥ずかしい。
「わからないだろ。そんなこと」
「わかりますよ。司さんだってそうなんですから、恵美が違うわけないやないですか」
「うるさいよ」と言い、僕は空を仰いだ。
蒼い空にはあまたの虹がかかり、それらがドームを作って、僕らを包み込んでいる。