天体観測
僕は驚かなかった。むしろそれが至極当然のようにすら思えた。そして僕には、恵美のいる場所がわかっていた。理屈ではなく、感覚的に。

「おい。どうしてん」と、電話越しに僕の様子を悟ってか、村岡は言った。

「大丈夫や。今俺と雨宮も探してるから。直ぐ見つかる」

「なあ。探さなくていいよ」と僕が言う。

「は?何言ってんねん」と村岡が当然の返答をする。

「だから、探さなくていい」

「だから何でやねん。もしかして一緒におるんか?」

「恵美から聞いたんじゃないのか?俺たち喧嘩したんだよ」

村岡は返事をしない。言ってはいけないことを言った。そういう後悔の念が、こちらにも伝わってきた。

「気にするなよ」

「ああ。すまん」

「これはさ。きっと
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