天体観測
「隆弘はどれかな?」
僕は恵美が見ているのかわからなかったけれど、右手で僕の目線の先を指差す。そして、言う。
「ベガだよ」
「信用できひんわ」
「隆弘が言ってたんだ。間違いない」
「いつ?」
「滝で夢を見たとき。『俺はここにいますから』って」
「でも、私たちが生まれるずっと前からあったやんか」
「きっとさ、交代制なんだよ。隆弘がベガになって、お役御免になった人は生まれ変わって、新しい人生を謳歌する。何百年も、何千もそうやってきたんだ」
「そうやといいね。でもそれってつらいものがあるよね」
「何で?」
「もう隆弘とは同じ時間軸にいないかも」
「大丈夫。少なくとも俺たちの上に隆弘はいるよ」
僕はまた、ベガを指差す。恵美が僕を見る。僕も恵美の方に顔を向ける。
「何か、司の雰囲気変わったね」
「ついさっき、運命的な出会いをしたんだ」
「そうなん。どんな人?」
「そうだな……踏絵を平気で踏むキリシタン大名かな」
「何それ」と、恵美は笑った。久しぶりに見る恵みの笑い顔は、僕をさらに落ち着かせてくれた。
「恵美」
「何?」
「こういうときには、泣いてもいいんだ」
僕は恵美が見ているのかわからなかったけれど、右手で僕の目線の先を指差す。そして、言う。
「ベガだよ」
「信用できひんわ」
「隆弘が言ってたんだ。間違いない」
「いつ?」
「滝で夢を見たとき。『俺はここにいますから』って」
「でも、私たちが生まれるずっと前からあったやんか」
「きっとさ、交代制なんだよ。隆弘がベガになって、お役御免になった人は生まれ変わって、新しい人生を謳歌する。何百年も、何千もそうやってきたんだ」
「そうやといいね。でもそれってつらいものがあるよね」
「何で?」
「もう隆弘とは同じ時間軸にいないかも」
「大丈夫。少なくとも俺たちの上に隆弘はいるよ」
僕はまた、ベガを指差す。恵美が僕を見る。僕も恵美の方に顔を向ける。
「何か、司の雰囲気変わったね」
「ついさっき、運命的な出会いをしたんだ」
「そうなん。どんな人?」
「そうだな……踏絵を平気で踏むキリシタン大名かな」
「何それ」と、恵美は笑った。久しぶりに見る恵みの笑い顔は、僕をさらに落ち着かせてくれた。
「恵美」
「何?」
「こういうときには、泣いてもいいんだ」