天体観測
「あら、起きてたの?」

「うん」

「ご飯食べた?」

「いいや」

「何か作ろうか?」

「いいよ。急いでるんだろ」

「子供が親に遠慮するんじゃないよ」

母さんはそう言うと、着ていたジャケットを脱ぎ、キッチンに立った。

「そういえば、恵美ちゃんが来てたよ」

「何用で」

「夏休みの早朝と言えばラジオ体操でしょう」

「ほんとバカだな」

「そんなこと言わない。はい、出来たよ」

フレンチトーストと、ハムエッグに、氷のたっぷり入ったアイスコーヒーのモーニングが出てきた。

「何で」

噛ってみたフレンチトーストがひどく甘い。急いで飲んだコーヒーは幸いなことにブラックだった。

「あんたは昔から甘いものを食べてこなかったからそんな性格になったんだんだよ。もっと甘いもの食べなきゃね」

「そんなこと関係ない。この性格はただ父さんに似ただけだよ」

僕と父さんは、先天的に人との付き合いっていうものが苦手なのだ。

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