天体観測
夢を見た。悪くない夢だったが、あまりに非現実で、無情な夢でもあった。
気が付けば、僕は何もない空間に立っていた。明るいはずなのに太陽すらない。あるのは、果てしなく続く地平線と、僕だけだった。
僕は恐くなって、あてもなく歩きだした。一歩一歩が、自分の足か疑いたくなるほど重い。
歩きだしてすぐ、汗が滝のように出てきた。ここには太陽がないはずなのに、まるで夏のようなのだ。だけど幸いなことに、喉が渇くことはなかった。
どれくらい歩いただろう。そもそもここに、時間という概念が通用するのだろうか。僕はただひたすら歩くしかなかった。
そのとき、後ろから「司さん」と呼び止める声がした。僕は疲れているのかいないのかわからない体に、無理やり回れ右をさせて、声のする方を見た。
そこには隆弘が立っていた。二年前の隆弘がいた。
「この頃、見舞いに来てくれてませんよね?」
「ああ、すまない。これから気を付ける」
「約束ですよ?ねえ司さん。僕どうなるんでしょう?」
「いきなり核心を突かれても困るな。どうなるのか、そんなことを知ってたら俺は今までお前の姉さんを泣かしたりしてない」
「そうですね。でも、司さんはいい人やからどうなるのかわからん俺のために、何かしてくれようとしてくれてるんでしょ?」
隆弘は笑って、僕の方に近づいてきた。
その瞬間、歩いて歩いても地平線しか見えなかった空間の壁が、すごい勢いで迫ってきて、僕は反射的に目をつむった。
「司さん。ここはね。僕そのものなんですよ」
僕が目を開けると、今まであった空間が消えてなくなり、満点の星空が広がっていた。
気が付けば、僕は何もない空間に立っていた。明るいはずなのに太陽すらない。あるのは、果てしなく続く地平線と、僕だけだった。
僕は恐くなって、あてもなく歩きだした。一歩一歩が、自分の足か疑いたくなるほど重い。
歩きだしてすぐ、汗が滝のように出てきた。ここには太陽がないはずなのに、まるで夏のようなのだ。だけど幸いなことに、喉が渇くことはなかった。
どれくらい歩いただろう。そもそもここに、時間という概念が通用するのだろうか。僕はただひたすら歩くしかなかった。
そのとき、後ろから「司さん」と呼び止める声がした。僕は疲れているのかいないのかわからない体に、無理やり回れ右をさせて、声のする方を見た。
そこには隆弘が立っていた。二年前の隆弘がいた。
「この頃、見舞いに来てくれてませんよね?」
「ああ、すまない。これから気を付ける」
「約束ですよ?ねえ司さん。僕どうなるんでしょう?」
「いきなり核心を突かれても困るな。どうなるのか、そんなことを知ってたら俺は今までお前の姉さんを泣かしたりしてない」
「そうですね。でも、司さんはいい人やからどうなるのかわからん俺のために、何かしてくれようとしてくれてるんでしょ?」
隆弘は笑って、僕の方に近づいてきた。
その瞬間、歩いて歩いても地平線しか見えなかった空間の壁が、すごい勢いで迫ってきて、僕は反射的に目をつむった。
「司さん。ここはね。僕そのものなんですよ」
僕が目を開けると、今まであった空間が消えてなくなり、満点の星空が広がっていた。