天体観測
「わかった。今年の阪神はAクラスに入れない。そういうことやな」
いつのまにかカウンター席の阪神タイガース談議は、終焉に近くなっていた。
「残念やけど四位と見た。プレーオフには出れへんね。投手陣が不安定やし、野手は去年の勢いもない。だから四位」
僕としては下の二球団が気になるところだったが、口に出さないことにした。こういうタイプの人間に横からものを言うのは、とても危険だ。
「まだまだ後半戦はじまったところやで。憎き巨人の監督の言葉を借りるなら『メイクミラクル』を起こすかもしらんで」
「巨人の言葉なんか信用もできひん」
たしかに『メイクミラクル』なんてものを起こせるなら、隆弘だってここにいるはずだ。世界っていうのは、そんな都合よく回っていない。
ふと時計を見ると、時刻はもう五時になろうとしていた。外は雨の影響で、こんな時間なのに薄暗い。
「恵美、そろそろ行こう」
「夜まで会議なんやないの?」
「阪神の会議をしたかったわけじゃないんだ」
「ごめん」
恵美はテーブル席に戻ってきて、申し訳なさそうに俯いた。
「いいよ。会議って言っても、議題なんて無かったわけだし」
「え、ないの?」
「ないよ。何もわからないんだから」
「これからってわけね」
「これからってわけだ」
いつのまにかカウンター席の阪神タイガース談議は、終焉に近くなっていた。
「残念やけど四位と見た。プレーオフには出れへんね。投手陣が不安定やし、野手は去年の勢いもない。だから四位」
僕としては下の二球団が気になるところだったが、口に出さないことにした。こういうタイプの人間に横からものを言うのは、とても危険だ。
「まだまだ後半戦はじまったところやで。憎き巨人の監督の言葉を借りるなら『メイクミラクル』を起こすかもしらんで」
「巨人の言葉なんか信用もできひん」
たしかに『メイクミラクル』なんてものを起こせるなら、隆弘だってここにいるはずだ。世界っていうのは、そんな都合よく回っていない。
ふと時計を見ると、時刻はもう五時になろうとしていた。外は雨の影響で、こんな時間なのに薄暗い。
「恵美、そろそろ行こう」
「夜まで会議なんやないの?」
「阪神の会議をしたかったわけじゃないんだ」
「ごめん」
恵美はテーブル席に戻ってきて、申し訳なさそうに俯いた。
「いいよ。会議って言っても、議題なんて無かったわけだし」
「え、ないの?」
「ないよ。何もわからないんだから」
「これからってわけね」
「これからってわけだ」