吸血男子
 私は相手の声も聞かず電話を切って布団に入った。




 海斗君のぬくもりで温かくなった布団は私の傷ついた心を癒してくれない。





 海斗君に聞こえないように小さな声で泣いた。








 朝起きてもその傷は癒されていることはなくて、隣にいる海斗君も滲んで見える。






 まだ泣いてるの?





 ベッドの横においてある全身鏡に映る私は疲れきっていて目は赤くはれている。






 海斗君に見つかる前に直さなくちゃ。





 急いで起きてぬれタオルを目の上に置く。





「美梨亜ぁ…おはよ…」



 寝ぼけた海斗君の声が聞こえる。





「目…どうかしたの?」

「ちょっと疲れちゃったのかな?」

「…今日は早めに帰って寝てろ」




< 111 / 378 >

この作品をシェア

pagetop