吸血男子
「うん…」




 心配してくれる海斗君さえ…本気で私を好きでいてくれているのか不安になる。





「美梨亜…ちょっと血吸ってもいい?」

「あ…うん」





 ボーっとしたまま海斗君に血を吸われる。




 頬に当たる髪でさえ幻に感じる。






 あそこまでハッキリいわれたのは初めてだ。




 こんなに酷く苦しんでしまうなんて情けない。





 魔女が人間に負けてしまうなんて。





「魔女って弱いの…?」

「どした?」

「…魔女は人間より心が弱いのかな?」




 目から涙があふれて海斗君の髪に落ちるのがわかる。




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