吸血男子
海斗君のほうが見れないまま、刻々と時間が過ぎていく。
後ろからは鋭い視線。
「美梨亜」
「ひゃいッ!!」
急過ぎて意味不明な返事。
「こっち向けよ」
「ヤダよ…」
「ヤダじゃねぇよ。こっち向け」
命令口調で海斗君はそういう。
「な…に…?」
「あーあ…そんなに泣いて…こっちおいで?」
微笑みながら、手招きをする海斗君。
泣き顔を必死に隠してゆっくりと近づいた。
「やっと捕まえた。美梨亜は俺のだよな?」
「…うん」