吸血男子
「陸びっくりしてるだろうな…」



 クスクスと笑いながら私の愛しい人は地面を見下ろす。




 方向をかえながら上手に進む。




 近くの家の屋根を足でけってジャンプする。





「はい、お疲れー」



 地面に足を付けてポンッと頭を撫でられた場所は元いたベランダ。






 屋根からジャンプしてここまで戻ったんだ。






「おま…お前ら……」

「時哉と同じ感じ」

「…マジかよ………ちょ、待って?」




 頭を抱え込んでベランダの窓に体重をかける陸君。





「美梨亜…何者…?」

「魔女…かな?」

「うわ、萌えー…っじゃなくて!! マジで?」

「うん」




 陸君は私を冷やかな目で見るどころか、優しい目つきで見降ろす。





「海斗は?」

「これ」



 そう言うと、私を引き寄せて首筋にかみついた。



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