吸血男子
「昨日そのまま寝ちゃったからな…悪いな、学校で」

「大丈夫だよ。私より海斗君のほうが大事だもん」

「ははっ…どーも」



 そう言って顔を首筋に埋めて血を吸う海斗君。




 抜けていく力で立って入れない私を支えてくれてる海斗君の片手。





 私って海斗君にとっての道具じゃないよね…?




 血を吸うために一緒にいるんじゃないよね?




「ふぅ…サンキュ…おっと」



 前に倒れた私を上手く支えてくれた海斗君。




「大丈夫か?」

「うん…ねぇ」

「どうした?」



 近くにあった机に私を座らせた海斗君は首を傾ける。




「道具じゃないよね…?」

「は?」

「海斗君にとって私って血を吸うためだけの道具じゃないよね?」

「…バーカ」



 おでこをでこピンされた。


「いったぁ」

「ちげぇよ。美梨亜は俺の大事な人だからな?」

「う、うんッ」



 よかった…。



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