吸血男子
 私は鞄も置きっぱなしで教室を飛び出した。




「美梨亜ちゃん!!」



 追いかけてきてくれたのは時哉君。




「あ…」

「大丈夫…?」




 非常階段で腰をおろしていた私の隣に時哉君が座った。



「僕は知ってるよ? 美梨亜ちゃんはそんなことしないよね」

「うん…」

「何があったかはわからないけど…誰と二股してるって思われてるの?」

「たぶん海斗君と陸君…」




 なんで…?



 二股なんてしてないよ。




「そっか…。それさ、僕の予想だけど…陸と一緒にいたのは美梨亜ちゃんじゃないんじゃない?」

「え?」

「陸の彼女は…美梨亜ちゃんのよく知ってる人でしょ?」





 ……あ、美鈴だ。




 私と美鈴はすごく似てるんだ。




「ふぇ…ッ……ありがと…時哉君」

「うん。よかった…。海斗のところにもどったら?」

「うん」


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