吸血男子
「わりぃ……」

「一度家に帰って話しなさい」

「あぁ…。美梨亜、帰るぞ」



 放心状態の私を抱っこした。





「ねぇ、家に帰るって?」

「は?」



 西野君が霧君に聞いた。




「部外者は黙ってろよ」

「…んだよ。お前だってどこが関係あるんだよ」

「あぁ? 俺はなぁ!!」



 霧君が西野君に大声を上げる。




「霧。その辺にしとけ」


 陸君に止められた。




「とりあえず帰るから」



 2人分の鞄をもった海斗君がそう言った。



「あぁ」

「美梨亜の話しも聞いてあげるのよ」





 家に着くと乱暴に下ろされたソファの上。




「美梨亜、良く聞いて」

「うん…」

「俺は美梨亜が二股をするようなやつじゃなことくらい分かってんの。だけど、不安なんだよ…まともな恋愛をしたことないような奴だから。話してくんなきゃわかんないこともある」



 正論だ。


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