吸血男子
 そう言って科学室から出してくれた。




「海斗君」

「ん、終わった?」





 先生が科学室からちょっと顔をだしてこっちをじっと見てる。





「…何もされてねぇ?」

「うん…」

「……はぁ…ま、追求はしねぇけど…帰ろ」






 気付いた……っていうか…聞こえてた?






「…聞こえてねぇよ」

「へ?」

「ニンニクとか十字とか…古臭いけど…全部苦手なんだよ。見たり食べたりするとヴァンパイアとしての力がちょっとの時間低下する」






 ……だから聞こえてないんだ。






 聞こえてたらどうしてた?




 ましてや、私から「助けて」なんて言えないよ…。



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