吸血男子
「夫の黒川海斗です」
どこかを見ていたはずの海斗君が私に笑顔を向けながら凛に言った。
「お…夫……?」
「あぁ。夫」
今度は凛を見た。
「じゃあそれは本物の…?」
私の左手を指さす。
「本物だな」
「うわぁあああ!! 美梨亜、結婚してたの!?」
叫び声をあげて言った凛は尻もちをついた。
「美梨亜の大学で一番仲いい友達か?」
私を見ながら海斗君が尋ねた。
「うん!!」
「じゃあな、もっと驚かしてやるよ(笑)」
海斗君の笑みが暗い方に変わった。
「まだあるの!? 心臓持たない…」
ためいきを吐いた。