吸血男子
「無理。空から行く」

「なら杖あるから!!」

「俺のほうが速い」




 そう言うと人込みを抜けてビルとビルの狭い間に入った。




「…なんか空飛ぶの久しぶりな気がする…」

「そりゃ、人間界では飛ばないもん」




 たまに実家に帰るために魔界に戻る時がある。





 そのときに空は普通に交通手段だからね。





「早く背中のって」

「うん…」




 うわ…ダイエットしときゃよかった。





「…重い」

「嘘ッ!!」

「嘘」

「もー!!」




 ちょっと笑った海斗君は壁を蹴って一気に空へと上がった。




「人少ないとこ通ってくからな」

「うん」




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