君を愛する
 それからも少し話をしてから、私のお母さんが運転する車で大学に向かった。
 大学に着くと、久しぶりに多くの友達と再会した。四年生になってからはほとんど大学に行ってなかったから、会うのは本当に久しぶりだった。そして、ある友達が私に声をかけてきた。
「彩香、久しぶり。優人君は元気にしている?」
「春奈、久しぶりだね。優人は相変わらず元気だよ」
「そう、だったら良かった。ねえ彩香、一緒に写真撮らない?」
「もちろん。じゃあ、私のお母さん呼んでくるね」
 私はそう言うとお母さんのもとへ駆け寄り、写真を撮るように頼んだ。
「二人とも良い? はい、チーズ」
 私たちは満面の笑顔を浮かべピースをした。
「彩香と最後に写真撮れて良かったよ。これからも幸せになってね」
「春奈も幸せになってよ。じゃあ、私は美咲たちの所に行くから」
「分かった」
 私は手を振って春奈と別れると、美咲のもとへ駆け寄った。
「美咲。私たちも最後に写真撮らない? これからは皆社会人になって、バラバラになっちゃうからさ」
「そうだね。秀たちも一緒に写真撮ろうよ」
 少し遠くにいた秀たちを、美咲は大声で呼んだ。美咲の声に気付いた秀たちは、駆け足で私たちのもとに来た。
「悪かったな。少し他の奴と話し込んじゃって」
「うん、大丈夫だよ。それより、早く写真撮っちゃおうよ。もう少しで卒業式始まっちゃうし」
 私はそう言うと、またお母さんを呼んだ。
「準備は良い? 皆笑顔でね。はい、チーズ」
 パシャ、というシャッター音を聞くと、私たちはお母さんもとへ駆け寄った。
「皆良い笑顔だね。最後に皆と写真撮れて良かった。これからは皆で写真撮る機会が無いからね」
 私はそう言うと、色々な思い出が甦り泣き出しそうになった。
「ほら、また卒業式の前に泣こうとして。涙は卒業式が終わってからの時にとっておきなさいよ」
 美咲は私を抱き寄せながら、微笑んで言った。
「そうだね。私涙脆いからさ」
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