君を愛する
　帰り道に私は色々と考えていた。修二に限って他の女に手を出すわけがないとか、やっぱり私は汚い女として見られていたんだろうか、そんなことをずっと考えていた。何一つとして私と別れた理由が分からないまま、家に着いた。
「彩香、今日は遅かったわね。夜ご飯は食べるでしょ？」
「今日夜ご飯は要らない。お母さん、今日このまま優人の世話頼んで良いかな？　今日は、色々あって疲れたから寝たいんだ」
「分かったわ」お母さんは何も聞かずに了承してくれた。
　自分の部屋に戻り、私はベッドの上に横になった。今まで修二と別れることなんて、一度も考えてもいなかった。高校卒業したら結婚して、優人の成長を二人で喜んで、いずれは子供を何人か作って、こういう幸せな生活をしていくんだと勝手に思い込んでいた。修二が何で私と別れようと思ったのかという理由が分からず、そのまま寝てしまった。
　翌日の朝、昨日のこともあってか学校に行く気が起きなかった。布団の中から出ようという気力さえ失っていた。そんな私を心配したお母さんが、部屋に入ってきた。
「彩香、具合でも悪いのかい？」心配そうな顔で聞いた。「うん」それだけ答えると、顔まで布団を掛けた。
「まあ、お母さんから学校に連絡しとくから、今日はゆっくり休みなさい。育児の疲れがでたんでしょう」そう言うと、居間へと戻っていった。
　私はずっと修二のことを考えていた。もう今は何もする気が起きなくなってしまっている。
　そんな時、美咲が私の家に訪れてきた。今日学校を休んだ私を心配して来てくれたんだろう、と思った。
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表紙・目次

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