君を愛する
 私は日が暮れ始めた頃に起きたら、修二はまだ寝ていた。修二の幸せそうな寝顔を見ていると、私まで幸せな気持ちなる。そんな修二を起こすのは可哀相だと思ったので、修二の荷物の整理を始めた。
 荷物の整理をしていた時、修二が起きて私に話しかけてきた。
「彩香、俺の荷物を整理してくれてるのか」
「うん。修二の家に持って帰る着替えとかを整理していたの。明日新しい着替え持ってくるね」
「いつもありがとう」
「今更何言ってるの。修二は病気を治すことだけを考えてればいいの。じゃあ、私は帰るから」私は修二に手を振りながら病室から出ていった。
 そんなある日、私が病室に入ると満面の笑顔を浮かべた修二がいた。
「修二、何か嬉しい事あったの?」私は不思議そうな顔で聞いた。
「医者から外出許可が下りたよ。明日から二日間だけだけど、家でゆっくりと彩香と二人だけで過ごせる」
「本当に? やっと外出許可下りたんだね。家で修二と暮らすのは久しぶりだね」
「最近はずっと体調が安定してきたからな。二日間だけだから、何しようか迷うな」
「修二はあくまで一時的な外出許可なんだから、無理しちゃだめだよ。私は修二と一緒にいれるだけで幸せなの」
「そうか。明日が楽しみだな」
「そうだね」二人して窓の方を見て、青く澄んだ空を眺めていた。
 翌日、私は朝から気持ちが高揚していた。久しぶりに修二とデートを出来るからだろう。私は早起きをして河原で食べるお弁当を作った。修二が大好きなおかずばかりを入れて、
修二が喜ぶ顔を想像していた。
 病院に着き修二の病室に入ると、修二も身支度をしていた。修二も久しぶりのデートだからか、気合が入っている様子だった。
「彩香、来たか。俺ももう少しで身支度終わるから、少し待っていてくれ」
 修二はそう言うと、慌ただしく身支度を再開した。私は近くの椅子に座り、そんな忙しない修二を見つめていた。
「彩香、身支度終わったから行くぞ」
「うん」修二が病室のドアに向かうのを見て、私は小走りで修二の後に付いて行った。
「今日も青く澄んだ空だな」修二が空を見上げながら言った。
「そうだね。まだ風は肌寒いけど、なんか気持ちのよい朝だね」
「そうだな。じゃあ、久しぶりにあの河原に行ってみるか」二人は思い出のあるあの河原に手を繋ぎながら歩き始めた。
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