君を愛する
 美咲は秀の背中を強く叩いた。そんな会話を見ていたら、自然と笑えてくる。
 修二が久しぶりに学校に来たということもあってか、私たちは卒業式のクラスの祝賀会に誘われたが、修二がすぐに病院に戻らなければならなかったので断った。
 教室で色々な人たちと記念の写真を撮って、私たちは教室を出て病院に向かった。学校から出るとき、修二がある提案をした。
「なあ、最後に校門の前で写真撮っていかないか? まだこの面子で写真撮ってないだろ。全員揃って写真を撮ることもないだろうし」
「俺もそれ思った。あの先生にでも頼もうぜ」
 そう言った秀は、近くにいた先生のもとに走っていって写真を撮ってもらうよう頼んだ。
「じゃあ、先生。お願いします」
「いきますよ。はい、チーズ」
 パシャ、とカメラのシャッター音が聞こえた途端に皆で先生のもとに駆け寄った。
「ありがとうございます」秀が軽くお辞儀をすると、先生にこう言われた。
「いつも君たちは仲が良いね。これからも友達は大切にするんだよ」
 こう言われた私たちは、お互いの顔を見合わせて笑った。
「はい、分かっています」と返事をして、修二の病院へと向かった。
 私たちは病院に着くと、病室で軽い祝賀会をやるために買ってきた飲み物や食べ物を看護師にばれないように持ち込んだ。
 病室に入ると、早速飲み物や食べ物を出した。紙コップや紙皿を出して用意をし終えると、秀が音頭を取った。
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