君を愛する
「えー、皆がめでたく高校を卒業したということで、乾杯」
 秀が言ったのを合図に、紙コップに注がれたのを手に取って乾杯をした。
 ちょっとしたお菓子などを食べながら、皆で高校の思い出について時間を忘れて語っていた。気が付くと、もう面会時間の終わりが近づいていた。
「もう面会時間終わるのか。もっと語りたかったな」秀が寂しげな顔で言った。
「そうだよね。でも、こうして皆で高校卒業出来て良かったね」
「うん、そうだよ。修二が一時はどうなるのか心配したけど」
 私と美咲は明るく振る舞った。
「みんな、俺のせいで心配かけて悪かったな。でも、俺は絶対病気治して、元気になって皆の所に戻るから」
「絶対治せよ。一人でも欠けたら俺らはダメなんだよ」
「分かってる。絶対こんな病気なんか治してみせる」
 秀が力強く言ったのに対し、修二も力強く答えた。
「じゃあ、私たちは帰るから。私は明日からも毎日お見舞いに来るからね」
 私がそう言って、私たちは修二に手を振りながら病室を出た。
 それから私は優人の育児に追われながら、毎日欠かさず修二のお見舞いに行った。
 そんな日々が続き、気が付くと大学の入学式を目前に控えていた。
「彩香、もうそろそろ大学の入学式だろ? 大学は楽しみか?」
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