君を愛する
「やっぱり大学って広いね。それに初めて見る人たちばかりだから、私少し不安かも」
「大丈夫だって、私が付いてるから。友達なんて自然とできるから」
 私は美咲にそう言われると、少し不安は消えたような気がした。
 皆揃って席に座り、少しすると入学式が始まった。
 学長や色々な先生の話、これからのスケジュールなどが長々と話された後、やっと入学式が終わった。
 入学式が終わった後、私は美咲に連れられて新しい友達作りへと向かった。美咲に言わせると、友達作りは初日が重要だから、できるだけ初日に話しかけた方が良いらしい。美咲のそういうところは本当に尊敬する。
 私と美咲は次々と話をかけ、アドレスを交換していった。初日だけで男女合わせて数十人とアドレスを交換した。
「美咲って本当に積極的だよね。私の性格じゃ無理かも」
「だってさ、こんな人数が多いのに友達作らなかったら、もたいなくない? せっかくだったら、できるだけ皆と友達になりたいじゃん」
「そうだよね。美咲は容姿端麗だから、男子からの受けも良さそうだし」
「まあ、私は彼氏が欲しいから格好良い男子に話しかけてるだけだけど。じゃなかったら、わざわざ男子と友達になろうって思わないし」
「そうなんだ。美咲は今彼氏を欲してるもんね」私は苦笑いしながら答えた。
 秀たちの方も何人かに声をかけ、アドレスを交換したらしい。人見知りなのは私だけかと思い、少し恥ずかしくなった。
 私たちは大学の校門前で合流すると、駅へと歩き始めた。
「ねえ、せっかくだからこのままカラオケに行かない?」
 美咲の提案に皆は同調し、大学の近くにあったカラオケ屋に向かった。
 カラオケ屋に着くと、美咲が受付を済ませて呼ばれるのを待っていた。
 少しすると、店員から美咲の名前が呼ばれ、私たちはカラオケボックスへと案内された。
 カラオケボックスに入ると、早速秀が曲を入れ始めた。
「久しぶりのカラオケだな。今日は盛り上がろうぜ」
「そうだね。今日はとりあえず盛り上がろう」
 秀と美咲はハイテンションでそう言うと、秀は歌い始めた。
 秀が歌っている間、他の人たちは飲み物の注文を済ませた。
「久しぶりのカラオケだと、やっぱり疲れるな。というか、もう皆は飲み物の注文したの?」
「うん、私たちは注文したよ。秀も早く注文しなよ」
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