君を愛する
里穂は次に歌う選曲をしながら秀の質問に答えた。
 そして次々と皆は歌い始めた。皆が歌い終えた頃には、カラオケボックスに入ってから二時間が過ぎていた。
「もう二時間以上ずっと歌っていたのか。もうそろそろ帰るか」
 秀がそう言うと、皆は帰る準備をし始めた。
 受付で会計を済ませカラオケ屋から出ると、少し薄暗くなっていた。
「なあ、皆この後どうするの?」秀が皆に聞いた。
「私は少しだけ修二のお見舞いに行こうかな。まだ少しだけ面会時間もあるし」
「じゃあ、私たちも彩香と一緒に修二のお見舞いに行かない?」
 美咲がそう言うと、皆は同調してくれた。
「みんな、ありがとう。じゃあ、あまり時間が無いし急いで行こう」
 私たちは少しでも長く修二と会うために、急いで駅へと向かった。
 駅に着くと、私たちは足早に病院へと向かった。
 病院に着き急いで修二の病室へと向かった。いつもはもっと早い時間にお見舞いに行っていたので、修二には少し悪い事をしたなと思った。
「修二、今日遅くなっちゃってゴメンね。その代わりに修二の大好きな果物買ってきたから許して。今日は他の皆も来てくれたよ」
 私は病室に入り、少し舌を出しながら修二に謝った。
「まあ、今日は大学の入学式だったし、お前らでカラオケでも行ってたんだろう。入学式はどうだった?」
「やっぱり初日だからすごい緊張したよ。でも、美咲のおかげで初めての人とも結構話せたよ。今日だけで結構な人とアドレスも交換できたし」
「良かったな。みんな、これからも彩香のことを頼む」
 修二は他の皆に目線を移し、少しだけ頭を下げた。
「当たり前だろ。彩香がまた何かあったりしたら、絶対俺が守るから」
「秀、ありがとう。でも、俺の彩香を奪ったりしたら許さないからな」
「そこは大丈夫。私がそんなことさせないから」
「大丈夫だって。俺は里穂一筋だから」
 秀がそう言うと、また里穂に抱きついた。里穂はいつも通り秀のことを宥めながら離すと、秀の背中を強く叩いた。
「いつもいつも私に抱きつかない。それは十分わかってるから」
「今思うと、里穂ってツンデレだよな」
「修二、何か言った? 聞き捨てならない台詞が聞こえたような気がしたんだけど」
「ん? 空耳じゃないか?」
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