君を愛する
「そう言ってもらえると嬉しいわね」
 おばさんはそう言いながら花瓶の花を変え始めた。
 今日はおばさんを交えて三人で世間話をしていた。
 面会時間が終わり私は病室から出ると、後ろからおばさんに呼び止められた。
「彩香ちゃん、少しお話しできないかな?」
「はい、大丈夫ですよ。じゃあ、あそこのベンチにでも座りましょう」
 私は近くにあったベンチを指差し、私とおばさんはそこのベンチに座った。
「おばさん、話っていうのは何でしょうか?」
「彩香ちゃん、落ち着いて聞いてね」
 私はおばさんのその言葉を聞いた途端、修二の病気のことだと直感した。その瞬間、私は嫌な胸騒ぎがした。
「もしかして、修二の病気についてですか?」
「そうなの。修二が骨髄移植するためのドナーが今でも見つからなくて、急性転化っていう末期状態になってしまったの。昨日お医者さんに言われて、余命はそう長くないって」
 おばさんは言葉を詰まらせながらそう言った。私にとっても衝撃な事実だった。修二は今まで抗がん剤治療や放射線治療を頑張ってきたのに、もう末期状態なんて受け止め難い事実だった。
 私はしばらくの間黙り込んでしまった。頭が真っ白になり、何も考えることができなかった。
「そうなんですか。修二が、末期状態に……。余命というのは、具体的にはあと何ヶ月なんですか?」
 修二が死ぬということは考えたくもなかったが、ちゃんと事実は知っとかなくてはならないと思った。
「修二の余命は、長くてもあと半年だって。進行状態によってはもっと早まる可能性もあるって……」
「そうですか。少し一人で考えさせてください」
「そうね。彩香ちゃんも気持ちの整理をして、覚悟だけはしておいてちょうだいね」
「分かりました」
 おばさんに軽くお辞儀をしながら返事をすると、私は意気消沈しながら家に帰っていった。
 それでも修二の前では明るく振る舞った。おばさんは本人には末期状態のことを言ってないらしく、私も気付かれないように振る舞うしかなかった。
 それでも私の看病空しく、修二は日に日に体が弱っていった。毎日のように嘔吐を繰り返し、私でも見てられない状態だった。
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