君を愛する
「これからも出来るだけお見舞いに来るよ。それより、まだ体調が良い内に外出許可下りないかな? 一日だけ、いや数時間だけでも良いから。優人と一緒にあの河原でお弁当でも食べようよ」
「良いかもな。今の内じゃないと多分外にも出られなくなるからな。でも、あの主治医が外出許可を出してくれるかな」
「主治医には私からもお願いしてみるよ。少しだけだったら、大丈夫だと思うよ」
 それからすぐに私と修二は、主治医に何度も外出許可を出してくれるよう頼み込んだ。その甲斐もあってか、明日の二時間だけだったら外出許可を出してくれた。
「修二、良かったね。初めて家族三人で外出できるよ」
「そうだな。俺はまだ優人に何もできていないからな。最後に少しでもパパらしいことが出来て嬉しいよ」
「何言ってるの。これから何年も何十年先もずっと優人の成長を二人で見守っていくんだよ。嫌なこと言わないで」
「悪い、彩香」修二は微笑んで、窓の方を見た。
 翌日の朝、私は早起きをして河原で食べるお弁当を作っていた。初めて家族三人での河原でお弁当を食べるから、腕に縒りを掛けてお弁当を作った。
 お弁当を作り終わり軽く身支度を済ませ、優人をベビーカーに乗せて家を出た。
 ベビーカーを押しながら病院に着き病室の前に立つと、少しだけドアを開けて顔だけを出した。
「修二、お待たせ。ちゃんと優人も連れてきたよ」
「やっと来たか。俺はもう準備終わってたよ。早く行こうぜ」
 修二はそう言って、私たちの方に向かってきた。
 私たちはゆっくり歩きながら河原へと向かった。河原に着くと、いつものように二人は芝生に寝転んだ。
「今日も風が心地良いな」
「そうだね。今日も晴れて良かった」
 短く会話をすると、二人はしばらく青空を見上げていた。
「修二。もうそろそろお弁当食べようよ。今日はいつもより頑張ってみたんだ」
「そうだな。昨日からずっと弁当楽しみにしてたんだよ」
「今日のお弁当は修二の大好物ばかりだよ」
 私はそう言いながらお弁当を開けた。
「すげえ。本当に俺の大好物ばかりだ。もう食べていい?」
「まあ、あえて嫌いな食べ物を入れるような意地悪はしないよ。はい、お箸」
「それもそうだな。じゃあ、いただきます」
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