君を愛する
 私は恐る恐る居間へ向かうと、他の皆がいた。居間に入ると、修二の両親が来ていた。私が居間に入ってきたのに気付いたのか、皆が私の方へ目線を移した。
「彩香、やっと起きた。髪の毛すごい事になってるよ」
 美咲が大笑いしながら言うと、他の人たちも大笑いした。
「仕方ないじゃん。というか、皆起きるの早くない?」
「うん、あまり寝れなくてさ。かといって、彩香のことを起こすのも気が引けたから起こさなかったんだよね」
 秀が申し訳なさそうに言った。
「うん。それは別に良いんだけどさ、皆して何話していたの?」
「修二の通夜と告別式のことについて話していた。すぐには厳しいだろうっていうことで、今週末にやることになったんだ。彩香は出席できそうか?」
「まだ分からない。今は気持ちの整理が出来そうにない。少し一人で考えさせてくれないかな?」
「分かったわ。前日までに連絡くれれば大丈夫だから、ゆっくり考えなさい」
 修二のおばさんは優しくそう言ってくれた。私は軽くお辞儀をして、美咲の隣に座った。
「彩香ちゃん、お昼ご飯食べるでしょ? 他の皆はもうご飯済ませているけど」
「はい、御馳走になります」
 そう返事をすると、美咲のおばさんはキッチンで料理をし始めた。
 おばさんが料理をしている間、私たちは世間話をしていた。
 私は昨日の今日だから、まだぎこちない笑顔を振りまくことしかできなかった。いつの日か、自然と笑えるようにできるような日は訪れるのだろうか。
 そして、修二のことを綺麗な思い出として心の宝箱にしまい込み、新たな生活を送ることができるのだろうか。私はずっと頭のどこかで修二と比べてしまっていそうで、修二のことを引きずってしまってそうだ。
 そんなことをずっと考えていると、美咲のおばさんが私の前に昼ご飯を出してくれた。
「美味しそう。おばさん、ありがとうございます」
「こういう時こそ美味しいご飯を食べて、元気つけなきゃね」
 おばさんは笑顔でそう言ってくれた。
 ご飯を食べていると、私は修二から死ぬ直前に渡されたカメラのことを思い出した。
「そういえば、修二からカメラを渡されたんだ。全部使い捨てカメラで、六つも渡されたこと忘れていた」
「そうなの? そんなにカメラ使うなんて、何撮ってたんだろう」
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