君を愛する
 私がボソッと呟いたのに対し、美咲が食いついてきた。
「分からない。たまに私と修二の二人で写真を撮ることはあったんだけど、こんなに撮った覚えもないし。なんだろう」
「後からカメラ屋さんに行って現像頼んで来れば?」
「うん、そうしてみる」
 私はご飯を食べ終わると、皆と別れて写真を現像するために美咲の家を出た。
 写真屋に着き現像を頼むと、私は一人で自分の家に帰った。
 美咲には「今日は一人でいたい気分だから、もう自分の家に帰るから」とメールを送った。美咲からすぐ返信が来て、「分かった。ゆっくり休みなよ」そう返信が来た。
 私は自分の部屋に戻り、ベッドの上に横になった。今は何もする気が起きない、考えたくもない、そんな気分だった。私は目を瞑っていると知らぬうちに寝てしまっていた。
 起きた時にはもう太陽が暮れ始めていて、夕日がすごい綺麗だった。
 夕方には現像が終わっていると言われていたので、私は写真屋へと向かった。
「今日の昼過ぎにカメラの現像を頼んだ佐々木彩香というんですけど」
「佐々木さんですね、少々お待ちください」
 店員にそう言われると、私はベンチに座った。数分後、店員が私の頼んだ写真を持ってきた。
「これでお間違いないですか?」
「はい、大丈夫です」
 私は袋に入った写真を手に取ると、家へと向かった。
 家に着くと私はすぐに自分の部屋へと戻り、早速写真を袋から取り出した。
 カメラが六つもあったので、写真の枚数は百枚以上もあった。一枚目から順々に見ていくと、それは驚くべき写真ばかりだった。
 もちろん私と修二との二人の写真もたくさんあったが、それ以上に多かったのが私だけの写真だった。
 修二の帽子を作っていた時の写真、寝顔の写真、花瓶の花を変えている時の写真などの写真ばかりだった。
 そんな写真を見ていると、自然と涙が流れてきた。修二が多く写ってなきゃ意味がないじゃん、と思いながらも何だか嬉しくなった。
 全部の写真を見終えると、涙が止まらなかった。私は修二からこんなに想われていたんだ、と今更ながら痛感した。今思うと、私は修二に対して何かをしてあげれていたんだろうか、修二は満足して逝ったんだろうか、と色々な想いを巡らせていた。
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