真友だったんだよ
一言で…
「お母さんッ!!はやくはやくっっ!!」

大声で言うのは、梨桜。

今日は中学校の入学式。

はじめての制服。

―杉原梨桜―

何も特技などない。

目立たない、普通の女の子。

可愛いってわけでもないし、勉強ができるってわけでもない。

男子にモテるってわけでもない。

悩みは、何でも心を許してしまうこと。

「ごめんね」の一言で、

何でも許してしまう。

自分でもよくわからないが、なぜかそれが悩みになってしまったのだ。



♪~♪~~~♪~

入学式にいつも流れる歌。

その曲を聴くと、なんだか気持ちよくて、

たまらない。


隣には、知らない女の子。

そうだよね。

髪の毛はストレート。

あたしの髪の毛も、もちろんストレート。

この前、薄い茶色に染めた髪の毛。


知らない女の子は、こげ茶色だ。

あたしは、ずっとその女の子をみつめた。

すると、女の子は、あたしのことを気づき、

にっこりと笑った。

そして、

「この歌、好き??」

と言った。

とっても安らかな声だった。

たった一言でこんなにもドキっとしたのは初めてだ。

「大好き!」

元気よく立派に言った。

気持ちよかったのはどうしてかな??
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