二人想い
パシっ
海君があたしの腕を掴む。
「行くなよ…」
「海君…」
「ここ、いて」
「……うん」
あたしはそのまま海君の手を握っていた。
眠りについた海君を見つめる。
あたしより長い睫毛。
薄い唇。
なんだか愛おしい。
さっきの言葉を思い出す。
海君はいつからあたしを見ていたの?
あたしは…どうしたらいいの…?
また、太陽君のときみたいに、迷惑かけるかもしれない。
それでも、
それでもあたしは、
ずっとあたしを見守ってくれた海君を、
幸せにしてあげたいと思った。