君の唄
「はぁぁ~…」
それから自分の姉貴について4時間くらい語られた俺。
身内のことを他人に語られるのは、想像以上に辛かった。
酔っぱらってやっと寝た唯を睨み付けながら、ため息をつく。
なんとなく周りを見ると、俺以外全員が寝ていた。
時間は10時。
今日はずいぶん早いな…
そうおもいながら、タバコを手に取り、ベランダに出た。
「ふぅ~」
煙をゆっくりと吹き出す。
秋の冷たくて気持ちいい風が、柔らかく頬をかすめる。
街灯に照らされる家の前の道にも人気はなく、静けさが周りを包んでいた。
目をつぶってその空間にひたる。
俺はこの静けさが嫌いじゃなかった。