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「………美和」

あたしは陣の腕の中で呟いた

「あたしのせいだよ…あたしが助けてあげられなかったから……『助けて』って『苦しいよ』って言ってたのに」

「……冴慧」

あたしを抱き締める陣の力が強くなる

「お前のせいじゃねぇよ 誰も悪くねぇんだよ だから……泣くなよ」

「陣……」

ふと力が抜けた
陣があたしから身体を離す

「俺だって悲しいよ」

目が赤い
陣も泣いていた

那智がすっとあたしの横を通りすぎて部屋を出ていった

「いつまでたってもさ…高校生になったって人の死は痛ぇな」

陣は美和に歩み寄った

「美和ちゃん……思いだしちまうよ……小さいころのこと」

陣は壊れてしまいそうなくらいに弱々しい声で言った

「………母さん」


見ていられなくなった
こんな弱い陣をはじめて見た

あたしが守らなきゃ

あたしが助けなきゃ

美和の遺言
美和が最後に言った言葉

『じ…んくん……幸せに……してあげ……て……冴慧』

――陣君はね
ほんとはすごく繊細な人なの

強がってるだけでとても脆い――

あたしは後ろから陣に抱きついた

「…え 冴慧?」

那智
ごめんなさい

あたし あなたの気持ちにはやっぱり答えられそうにない


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