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「じゃ……じゃあまたな」
陣はすたすたとその場をあとにした
取り残されたあたしと美和
一瞬 ほんの一瞬だけ美和のことを忘れるくらいドキッとした
林間のときに感じたドキドキと同じ感覚
「………美和 あたしどうすればいいんだろうね」
那智のことは確かに好きだよ?
でも…陣があたしのことそんな風に思ってたなんて知らなかった
今までの2人との思い出が鮮明に蘇る
――なんでもっと早く気づかなかったんだろ……
「陣はいつから…あたしのこと好きだったんだろ……」
波美の意味深な発言が頭をよぎる
「…………だとしたら美和にも杏にも『協力』するとか言ったときは…」
もう好きでいてくれたのかな?
「ごめんね…美和」
美和の顔にかかっていた布をとる
綺麗な顔
痛みも 苦しみも 悲しみも感じられない表情だった
だけど 喜びも 幸せも感じられない 何もない表情だった
「…………美和ぁ」
それから何分かして美和の両親が病室にやってきました
言葉にならないほどの驚きで今にも倒れそうになりながらも……
あたしはそれを遠くから見ています
あまりにも死という現実が重すぎて
実感がわかないです
「冴慧っ」
だってまだ瞼の裏には笑顔の美和がいるんだもん