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「冴慧ちゃんにはわかんないだろうな あたしたちの気持ち」

あたしたち
鈴梛先輩と彼方先輩?

「小さいころからのね 幼なじみなんだよ うちら」

先輩はその場にすとんとしゃがみこんだ


「でもね……あたしには好きな人がいたし 彼方のこと好きかもなって気づいたときには……………」

先輩の頬に涙が流れる

「もお遅かったの」

「鈴梛先輩………」

あたしは先輩の近くに歩み寄った

鈴梛先輩の心が痛いほどわかる

「………それを彼方先輩に伝えてくださいよ」

あたしもしゃがんで先輩と目線をあわせる

「言わないとはじまんないですよ」

「……冴慧ちゃん」

「鈴梛先輩にも彼方先輩にも後悔してほしくないです」

「………だけどね」

鈴梛先輩は間をとってから言った

「だけど………」

しばらくしてふいっと顎をあげた

「…………そうだよね あたしまだ何にも伝えてない」

鈴梛先輩は立ち上がった

「ありがとっ」


あたしは先輩の背中を黙って見送った



「後悔してほしくないです………か 何にも伝えてないのはあたしだって一緒じゃんかね……」

あたしはまだ那智に何にも伝えてない

陣にも 雅にも……
何にも伝えてない

彼方先輩にだって
生徒会のこと言えてない

「中途半端は……あたしか」
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