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「え?」
「兄貴のためだよ」
蓮君はそれ以上何も言わなかった
「ライバルが那智じゃなかったら俺も冴慧のこと狙うんだけどなぁ」
「……馬鹿」
「冗談だけどな」
言い方があまりにリアルすぎて冗談に聞こえなかった
笑えない冗談
「じゃあまたな」
「あ…うん」
蓮君は走り去っていった
「……あたしもそろそろ行こうかな」
那智待たせてるし
ファイルを小脇に抱えて生徒会室をあとにした
「冴慧おせぇよ」
「わっ 那智」
生徒会室をでてすぐの廊下の壁に那智がもたれかかっていた
「い…いつからいたの?」
もしかして話し聞かれちゃったかな?
「今だよ今 蓮が部屋から出てくるとき丁度ここについた」
「そっかぁ」
よかったぁ……
「蓮と何話してたんだよ」
「え?」
突然の質問
動揺するあたしにふて腐れ気味の那智
「冴慧は俺のだ」
那智はあたしのファイルと鞄を取り上げた
「ほら行くぞ」
そしてあたしの手をつかむ
転校した次の日の朝のことを思い出す
あたしの視界にうつる那智姿はあの日と同じ
変わったことはあたしたちが付き合ってるっていうことと握られた手
俺様だけど ぶっきらぼうだけど那智のこういうことがすごく好き