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「難しいなぁ とりあえず1つ言えることはね……」

「はい」

「冴慧ちゃんは深く考えすぎだよ」

「はぁ……」

鈴梛先輩は続けた

「あたしが言うのもなんだけど 恋ってもっと単純なものだと思うよ?だから波美ちゃんとか 蓮君とかが言うことは正しいと思うの」

「波美とか蓮君が?」

「そう 『もっと素直になれ』ってやつ」

「はあ……そうですか?」

「うん 我慢しちゃだめだよ 責任感じるのもやめたほうがいいし 感情押さえ込むのもだめ 冴慧ちゃんは冴慧ちゃんなんだからさ」

「……。」

「あたしはそれを冴慧ちゃんに教えてもらったの 伝えなきゃだめなんだって だから冴慧ちゃんにも後悔してほしくない」


鈴梛先輩は優しく微笑んだ

「気になる人がいるんでしょ?気になることがあるんでしょ?だったらそのままにしといちゃだめだよ そんなの冴慧ちゃんらしくない」

あたしらしくない

前 陣に言われたことがある

あたしは陣にしたのと同じ質問をまた先輩に投げ掛けた

「あたしらしいってなんですか?」

鈴梛先輩は迷わず答える

「人に真っ直ぐで自分にも真っ直ぐで誰からも愛されるのが冴慧ちゃんだな」

その言葉にあたしは強く背中を押してもらった気がした
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