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「北条君…ほんとにこれでいいの?」

「あーありがとな笹川」

俺は冴慧が追ってこないのを確認してから笹川の肩から手を外した

俺が冴慧にしてやんなきゃいけないのは束縛じゃない

そう思った

でもあいつは意地っ張りだし頑固だし 普通に別れ話を切り出したって却下されるに決まってる

これくらいしなくちゃダメなんだ

冴慧を傷つけるってわかっていても

俺のこと大嫌いになってもらわなきゃだめなんだ

「でも驚いたなぁ 北条君から頼みごとがあるとか」

俺は並んで歩く笹川の顔を見た

「去年一緒のクラスで冴慧と関わりがあって生徒会役員じゃないなんてお前しかいないんだよ」

「ふーん」

笹川は軽く顎をあげた

「ねぇ北条君」

「なに?」

「すごく悲しい顔してるよ?」

「……。」

「泣いてるよ?」

「……。」

気づかなかった

自分が泣いてることにも

冴慧が幸せならそれでいい

やっと見つけた大事な人だから



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「………っ。」

泣かないって決めてたのに

無意識のうちに涙がとまらなくなっていた

「……那智」

あたしが那智を呼び止めたとき何を言おうとしたのかな?
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