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「陣っ」

「おう 冴慧」

部活が終わり部室に戻ろうとしていた陣を呼び止めた

「待ってるから一緒に帰ろ」

「……おう」

陣は小さな声で返事をすると足早に部室へと入っていった

「陣もわかりやすいよなー」

「………?」

後ろから突然声がした

振り返るといつの間にか蓮君がいた

「先輩より先に他のやつからチョコもらえないんだよ 兄貴」

「………。」

「たぶんな」

蓮君は鼻で笑った

「そういう蓮君だって1つしか受け取ってないんでしょ?鞄まで用意してたくせに」

「まさか杏先輩からもらえるなんて思ってなかったんだよ いつも俺のことガキ扱いしてくるくせによ…………」

「ん?」

「……あんな顔されたら他のやつの受けとれるわけねぇし」

蓮君は照れてることを無理に隠しながら平静を装っている

……素直じゃないなぁ

「嬉しいくせに」

あたしがぼそっと呟くと蓮君は「うるせぇ」って叫んだ



「お待たせ………っておい なんで蓮がいんだよ」

蓮君の姿を見た瞬間に不機嫌になる陣

「じゃっ またね 冴慧ちゃん♪」

蓮君はわざとらしくあたしのことを『ちゃんづけ』して走り去った

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