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カチカチカチ

部屋の中には時計の音だけが響く

千歳さんはまだしも彼方先輩が真面目に仕事するなんて思わなかったな

会長としての自覚がある人なんだ


「失礼しま~す」

「陣っおせぇぞ」


陣は席について仕事をはじめた

あたしことぐちぐち言ってたくせに


―バンッ


「遅れてすみません」

「杏ちゃん 珍しいね」

「先生に頼み事されてて」


頭に手をあてて苦笑いをする


「許すよ」


みんながだんだん揃ってきた

あたしは再び彼方先輩に視線を送る

この人 不真面目そうに見えるけど全然違う


仕事もそうだし 資料に顔を向けたまま役員の様子に気をつかってる

すっごい集中力

こんなの彼方先輩以外じゃあなかなかこなせないよ

あたしはいまさらながら自分の立場の重さに気付く

責任重大



「那智がいねぇぞ」


やっぱり把握してるし


「冴慧ちゃん」

「……はい?」

「那智さがしてきてくれる?」

「………はぁい」

あたしは席をたった

まさか初日からここまでこき使われるなんて昨日の時点では思ってもみなかったな

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