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「………陣?!」

冷ややかな目であたしたちを見ているのはさっきまで美和といたはずの陣だった

「おい雅 離れろ」

「ちょ…陣?」

明らかにいらついている陣

「南波に言われる筋合いないわ さっさとどっか行きやぁ」

そんな陣の気迫を軽く流して嘲笑うかのような雅の態度

「離れろっつってんだろ?」

いつもより低い声であたしと雅の間に割って入った

「南波…お前は冴慧のこと好きなんかや?」

「……。」

「答えろや」

「雅はどうなんだよ」

「好きやよ…俺は冴慧のこと好きやわ」

真面目な顔をしながら言う雅

「はよう答えろや南波」

「俺は………」

「陣?」

雅から顔を背けあたしのほうに顔を向ける

「俺は……」

ドキン

はじめて見るいつになく真剣な陣

「…お前のこと」

ドキンドキン

「冴慧のこと………好きなわけねぇだろが馬鹿」

「「はぁ?!」」

あたしと雅の声がシンクロする

あの間は一体なんだったの?

「だいたいなぁ~俺がこんながさつで意地っぱりな女好きになるかよ 波長あわねぇし見るたび喧嘩うられるし俺はなぁ…」

―バシッ

「陣の馬鹿」

ビンタを食らわして 雅を腕で払いのけあたしはすたすたと歩きだした

ドキドキして損した

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