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あたしは箪笥を開いてクリーニングに出したての浴衣を引っ張りだした

紺色で花火の模様の浴衣

お姉ちゃんからのおさがり
おさがりってのがいまいち納得いかないあたしだけど結構気に入ってる

「持ってきたよ」

「はいはぁい」

冴稀姉は慣れた手つきで浴衣を着せてくれた

「うん 冴慧 去年よりもすっごく似合ってるよ」

「お世辞はいいよ」

照れながら冴稀姉の言葉を否定する

「お世辞じゃないわよ 冴慧…好きな人でもできたんじゃない?」

「……え?」

一瞬脳裏にうかぶ那智

「図星★また今度聞かしてもらうからね じゃあ行ってきます」

冴稀姉は鞄を持って玄関へと飛び出して行った

「あたし今日は帰らないからよろしくね」

「うん」

「お母さんたちも今日は出張らしいから 冴慧1人だからって 男の子連れ込んだりしたらだめよ」

「……わかってるわよ」


冴稀姉が言うと冗談に聞こえないからこわい

あたしは冴稀姉を見送ったあと全身鏡で自分の姿を見つめる

……人は恋するとちょっとは女の子らしくなれるのかな?

那智への思いが恋ならあたしは可愛くなれるかな?

…ちょっとは可愛いって思ってくれるかな?


ドキドキとワクワクで胸がいっぱいだった


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