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「陣~一緒に見ようよ」

しばらくして杏が立ち上がり陣に向かって手招きした

「あれ?那智は?」

「女と約束あるんだってさ」

「ふーん そんなことよりさぁ…」

杏と陣との会話を聞きながらあたしは心の中でため息をつく


那智…
彼女と約束あるならなんで行くとか言ったんだろ

「なぁ冴慧ぇ」

「…ん?」

後ろから陣の声がしたからあたしは花火を見上げながら返事をした

「お前さぁ…那智のことどお思ってんの?」

「何っいきなり」

あたしは勢いよく振り返った

見るとそこにはさっきまでいたはずの杏の姿がない

「あれっ?杏は?」

「かき氷買いにいってくれた…」

その言葉を最後に陣との間に沈黙が流れる
いつもとは違う雰囲気

………なんか重い


「冴慧あのさ…」

あたしを真っ直ぐみる真剣な顔の陣

「俺さ……………………………だ」

―バンッ

「え?」

花火の音で大事な部分をききのてしまい思わず聞き返した

「『俺さ』のあとが聞き取れなかったんだけどもう一回いって?」

「…やっぱいい」


「なによっ気になるじゃない」

「いいったらいいんだってしつけぇな」


陣が……あたしと目をあわせてくれない
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