そんなバカみたいなやりとりをしてるうちに、タウエが呼ばれた。


「松田 結さーん」
とうとう私が呼ばれる。


窓際の前から2番目の席だ。なかなか、いい席だと思った。先生から死角になるかは、わからないが一番前よりは全然いい。しかも窓際。私は窓から見える中庭のオオエノキが好きだ。樹齢200年近くあるらしい大きな大木で、この学校のシンボルになっている。


だって200年前って何時代?そんな前にも、この木は存在して色んな人達を見てきて…目をつぶり、その昔の情景を思い浮かべる。


不思議というか感動というか、とにかく、この木はすごいと思ってしまう。


私が座ったと同時に隣の席の男子の名前が呼ばれた。

「渡瀬 絋」


ワタセ ヒロ。聞いた事はあるけど、こんなに近くで見たのは初めてだ。クラスも今まで一緒になった事はない。ただ昨年から始めた部活が一緒だ。でも男子と女子は別々に練習するため、たいして面識はない。


隣に座った瞬間に目が合った。とくに挨拶もかわさなかった。


あたしより背も体も小さいくせに、やけに威圧感が、あるのは何でだろう。
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