Love 4 U
お祭りの会場を後にした私は、近くにあった公園のブランコに座って休んだ。


― どうしよう、これ…?

一回のつもりが、金魚をすくえなかったコトにムキになり、ついつい3回もやってしまった…


だからといって、こんなに金魚をくれなくても…


袋の中で、金魚が所狭しと泳いでいた。


「どうしよう、この金魚…」

いくら袋を見つめても、減るコトも消えるコトもない金魚。

飼うコトも出来ないのに、なんで素直に貰ってしまったのか。
私は、少し後悔をした。


既にぬるくなった缶ビールの口を開け、一口飲んだ。

「美味しい…」
ぬるくなったビールが、美味しく感じる。



「どうしようか…」
袋の中で元気よく泳ぐ、金魚に話し掛けた。

もちろん、金魚に話し掛けたからと言って答える訳じゃない。

でも私は、生きている何かに無性に話したかった。

それがたとえ、答えを返してくれない金魚だとしても。

私は、それでも良かった。





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