Love 4 U
「はい。これ…」

急に暗闇から現れた彼が、私の背後から声を掛けてきた。


― ヒッ!!
声にならない私。

今度は、持っていた缶ビールを落とした。


「ゴメン…。また驚かせるつもりじゃ…」
困った顔をしながら、彼は私に謝った。


彼は、私の落とした金魚に水を入れる為に、公園の水道を探していたのだった。


「これ…」
彼が、私の目の前に金魚差し出した。

「あ…、ありがと…」
彼から受け取った金魚は、『命拾いしたぞ。もう~』という顔で、狭い袋の中で悠々と泳いでいた。




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