Love 4 U
「さて、帰ろう…」
静寂を打ち消す様に、私は声を出した。


知らない街で、急に一人ぽっちなのだと感じさせられる。

淋しさは、こういう時に感じるのだ。


― これから死ぬ私が、なんで?

『淋しい』『怖い』『助けて』『苦しい』『辛い』『哀しい』

そんないらぬ感情が、私を襲う。


自分が決めたコト。
自分が決めたミチ。
自分が決めた人生。

悔いはない。
後悔もない。
未練さえも、ない。


自分にある弱さを、私は掻き消した。


それなのに迷いは、消えてはまた打ち寄せる。


弱虫。

臆病。

ダメな人間。


そう、私は間違いなくダメな人間。


現実逃避をして、今を逃げている。

そして、誰が私を助けてくれるのを待っている。


さんざん最もらしい言い訳をしてきたのに。

それが違った。


なのに、今の私は素直に引き返すコトが出来ない。


今の私は、意地だけで生きていた。






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