Love 4 U
「母さん、今、なんか聞こえなかったか?犬かキツネの鳴き声みたいな…」

「さぁ~。私には、ユリアさんの声にしか聞こえませんでしたけど?」

「そうか…?それよりも、リョウも元気な嫁を貰ったな…」

「そうですね。街中、ユリアさんの噂が持ちきりで…」

「噂?」

「面白いって…」
リョウの母親が、思い出し笑いをする。


「なんだ…。また悪い噂かと思って、驚いたぞ…」

「そんな訳ありませんか。ユリアさんに限って。リョウには勿体無いって、よく言われるんですから…」

「そうだな…」

「そうですよ。それに、今時農家の嫁なんて、探しても見つからないのに。本当に、良い娘が来てくれて良かったですね…。お父さん」

「そうだな…」

「じゃ、私はそろそろ買い物に行って来ますね。お父さんも早く、リョウ達の所に行って上げて下さいね」

あぁ。
と返事をしたものの、中々体が動かない、父。

― どうもなぁ。仕事のペースが早くてな…、ユリアさんが来てから。
どうも、コキを使われてる感じがして…
元気よすぎるというか…

とにかく、早くラクになりたい…



父の心の叫び声。

たぶん、しばらくは誰にも届かない。

寂しいが…


家の電話が鳴った。

「おっと。電話だ」
内心、ほっとする父。

畑に行くのに、遅くなった理由が見つかった。





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